2013年06月10日

よくある誤解

「MMDに関わるならば無償配布を行うのが当然である」

という類(たぐい)の、たまに目にする誤解?のようなものについてちょっと書いてみようかと思います。


■無償配布という文化

MMD が配布されたときに「振り込めない詐欺」のような流れで大きく盛り上がってしまった名残でしょうかね。

実際のところは言われている程なんでも無料/無償で公開されているわけではありませんし、そもそもそんな強制はまったくありません。

自分がフリーで公開しているのも、別に無償行為が素晴らしいと思ってやっているわけではなく、単純に、

"現在の(日本の)社会制度ではネットを通して個人がお金のやりとりを行うのに、非常にコストが高くつく(色々な意味で)"

という理由からだけです。

お金を貰う側だけでなく、お金を払う側としても面倒極まりない現状です。

なんとかジャパンのような類の "仕事をしている気" になっている暇があるのであれば、ユーザー全体のためになる環境整備の一つでもやって頂きたいところです。

※スマホなど海外発の Storeは盛況ですが(利便性に優れている)、どんどん海外(米国)へお金が出て行く一方ですよ(日本→日本でも何割かは勝手に持っていかれる)


■MMDは3DCGの革命である

MMDの思い入れが強すぎる方はそんな風に思われるのかもしれませんが、3DCGの歴史や機能面からすれば、革命というほど大きな先進性はありません。

むしろ複雑怪奇に成り果てた 3DCGを極力スマートに絞込み、全くの初心者でも扱えるようにしたことに大きな意義があったと思われます。

しかしそれは 3DCG的には一旦後ろ(過去)へ下がることと等価なので、それにより多くの新規ユーザーを獲得することができた、というのはある意味皮肉なことなのかもしれません。


■MMDは3DCGではない

これもよく目にしますが、れっきとした 3DCGアプリケーションです。

3DCG=モデリング、という(PC性能的にモデリングぐらいしかできなかった)時代のユーザーからすれば、

「モデリングすらできない連中が 3DCGユーザーとか(笑)」

みたいな考え方をするのも解らなくはありませんが、プログラミング技能を持つ自分たちから言わせれば、

「プログラミングもできない連中が PCユーザーとか(笑)」

というのと大して違いありませんからね。今日日そんなことを真面目に放言するプログラマさんは、もはや絶滅危惧種にすらならないでしょう。

MMDは 3DCGを用いて主にアニメーション映像を作成することに適した 3DCGアプリケーションです。


■PMD/PMXでモデリング

PMD/PMXエディタについて、たまに「モデリングツール」などと紹介があったりしますが、リドミを含めそのような表記はどこにもありません。

そもそもにおいて、PMD/PMXモデルは MMDのようなアニメーションツールでの利用に最適化されており、モデリングには全く適さないモデルフォーマットです。格納できる情報はモデリング作業の "結果" だけです。

必然的に専用編集ツールである PMD/PMXエディタにおいて、そのような編集機能が拡充されることはありません。

※多少の要望があったので、押出やナイフといった最低限の機能は付けてありますが、それらも効率の悪いとりあえず動くだけの機能です。頂点の鏡像編集などフォーマット的には本来不可能な処理を無理やり実現させているものもあります。当然使いやすいものになるわけがありません。

餅は餅屋というように、モデリングは適したツール、適したフォーマットで行うことが最善です。

繰り返しますが、PMD/PMXモデルはモデリングには全く適さないモデルフォーマットです。


■MMD動画は伸びる

一時期は最低でも 1000再生ぐらいは堅い、みたいな印象がありましたが、過去は美しく見える的な幻想です。

投稿数が増えたことから、実質的な再生数の平均や中央値は下がっているようですが、目先の多少の数字だけを比較してもさして意味はありません。

埋もれ問題についても、ニコに限らず現実社会ですら同じような現状(供給過多による一部への集中)なので、効果的な解決策を望むことは難しいでしょう。

結局のところ、自己満足を最大化するために数字のみを評価に用いるのは、あまり賢い方法ではないと言えます。その拠り所は個々人が自分で見付けていくしかないと思います。


■MMDは流行っている

日に100本以上の動画が溢れかえる、という状況だけ見れば少なくともニコニコ内では流行っているように見えますが、

現在のユーザー数の概算を、アクティブで 2〜3000人、それなりに知識や興味があるぐらいのユーザーを 10000人

程度に設定しても、ニコ内の印象ほどは「社会的には流行っていない」というのが実際でしょう。

※実体数としての1万は結構な人数ですが、それでも全体から見れば 0.01%(1/10000)にも満たない程度です。

活動も無償行為が大半なことから、動いている金額も一般的な 3DCG市場としては極僅かであると推察されます。今後は解りませんが、現在のところは経済的な貢献も ほぼゼロ といって差し支えないでしょう。

MMD杯含め色々と騒がしい面もありますが、現状認識としてはニコニコやネットという特殊な環境内での一つの状況/盛り上がり、ぐらいが妥当な評価かと思われます(基本的に金にならんことはどれだけやっても経済社会的には無価値とされてしまいます。残念)


■リドミは読まれない

この記事を開いた方が全員ここまでの内容に全て目を通されているなら、各リドミもきっとしっかり読まれていることでしょう。

・・・まあそういうことです。

リドミをなんとかしてでも読ませよう、という意気込みは否定しませんが、個人的にはあまり効果的であるとは思えません。

なので(←この使い方は文法的に云々)、ああいうものは基本「読んだ」ものとして勝手に判断することとしています。

この手の話でよく「こんな内容は法律的に認められないので〜」というようなことがありますが、多大なコストのかかる法的サービスの利用を想定していない無償行為での活動などでは、その指摘がまず意味をなさないことは自明でしょう。

「約束が守れるかどうか」という信用においての文字通りの約束ごとです。信用を守るも守らないも自由ですが、守らない者にはそれ相応の評価が行われるでしょう。

・・・まあそういうことです。


以上、長々と書いてしまいましたが、最後に最近はほとんど忘れられてしまった感のある「タダより高いものはない」という言葉で一応の〆にしたいと思います。

長文読了おつかれさまでした。
posted by - at 20:42| MMD | 更新情報をチェックする